【撮影目的】
True AP view(足基準線を垂直にした)では広く描出されない腓骨側の関節腔も含めて足関節腔(ほぞ穴)を広く描出する。多くの国においてmortise viewがAP viewとして撮影される。
脛骨遠位、腓骨遠位、足関節、第5中手骨基部を観察する。
骨折、脱臼、炎症、骨腫瘍の評価。
【撮影前の確認事項】
障害物となるものを除去する。
痛みがある場合は無理に内旋、背屈させない。
【ポジショニング】
座位もしくは仰臥位
検側の下肢を伸展し、非検側は照射野から外すために外転する。
検側の下腿軸をカセッテ長軸に合わせる。
足関節をカセッテ中心に合わせる。
足底面とカセッテを垂直にするように背屈させる(自然位では5th中足骨の観察に優れる)。
膝関節を10°~15°内旋させる。
→踵骨と第4趾を結ぶ線をカセッテに対して垂直にする。
RLマーカーを配置する。
【X線入射点・撮影距離・照射野】
入射点:内果と外果を結ぶ線の中点に垂直入射。
距離:100cm
照射野:上下は下腿遠位1/3~第5中足骨基部を含む。左右は皮膚面まで絞る。
【撮影条件】
50kV / 4mAs
グリッド ( – )
【画像・チェックポイント】
正常例 (Radiopaedia)
足関節のほぞ穴が明瞭に観察できること。(3辺とも3~4mmが正常で、2mm以上の拡大は異常)
遠位脛腓関節腔が観察できること。(6㎜以下が正常)
皮質、骨梁が明瞭に観察できること。
遠位脛腓関節、第5中足骨基部が含まれていること。
非検側の下肢が重なっていないこと。
軟部組織が観察できる寛容度であること。
RLマーカーが入っていること。
動きによるブレがないこと。
【動画】
【関連資料】
Weberの骨折分類(治療法の決定に用いる)
A:脛腓靭帯の結合部よりも遠位
B:脛腓靭帯の結合部付近
C:脛腓靭帯の結合部よりも近位
American College of Radiology
ACR Appropriateness Criteria® Acute Trauma to the Ankle
救急撮影において2R(Mortise AP view + lateral view)を推奨する論文
救急撮影において3R(True AP view + Mortise AP view + lateral view)を推奨する論文
診療所などで撮影する場合、専門の先生がいない夜間の当直などの場合はmortise viewがいいように思っていました。ただ、昔ながらの技師は骨折だけを見てるわけではないtrue APだろと言われました。どちらがいいのでしょうか?ご教授願います。多くの国においてmortise viewがAP viewとして撮影される。と書いてありましたが、論文などもあるのでしょうか?
合わせてご教授していただけたらと思います
オーダーを出したDrの指示に従うのが前提として、いくつかの資料を提示します。
1.両方の撮影法を紹介している:「図解 下肢撮影法」「医用放射線科学講座 8 放射線画像技術学」「BONTRAGER’S TEXTBOOK OF Radiographic Positioning and Related Anatomy」「Merrill’s Atlas of RADIOGRAPHIC POSITIONING & PROCEDURES」
※図解 下肢撮影法 第1版p198にて True AP-ViewとMortise AP-Viewの採用率は半々であると記載あり。
※Merrill’sではMortise JointはAP OBLIQUEとして紹介されている。
※その他のwebサイト「https://ce4rt.com/rad-tech-talk/resources/calcaneus-xray-positioning-guide/#ankle-ap-view」「https://www.radiologymasterclass.co.uk/tutorials/musculoskeletal/x-ray_trauma_lower_limb/ankle_fracture_x-ray」「https://www.radtechonduty.com/2012/09/ap-projection-ankle.html」「https://www.radtechonduty.com/2012/09/ap-mortise-projection-15-to-20-degree.html」
2.Mortise AP viewを紹介している:「クラーク X線撮影技術学」「画像解剖に基づく単純X線写真の撮影法と読影のポイント」「放射線技術学シリーズ X線撮影技術学」「診療画像解剖学テキスト」
3.True AP viewを紹介している:「骨・関節X線写真の撮りかたと見かた」
(以下、組み合わせについて)
3つの撮影(True + Mortise + lateral)を推奨:「ACR: https://acsearch.acr.org/docs/69436/Narrative/」「Radiopaedia: https://radiopaedia.org/articles/ankle-radiograph-an-approach?lang=us」「文献: https://www.aafp.org/pubs/afp/issues/2000/1201/p2500.html」
2つの撮影(Mortise + lateral)を推奨:「https://www.rcr.ac.uk/career-development/audit-quality-improvement/auditlive-radiology-templates/adequacy-of-ankle-radiographs-in-trauma/」「文献: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10845508/」
※https://dontforgetthebubbles.com/ankle-x-ray-interpretation/ によると2つの撮影を推奨しているのは英国と一部の国
※https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10845508/ ではTrue AP + lateral と Mortise AP + lateralの優劣は示されていない
なお、YouTubeにてAnkel AP viewを検索するとほとんどがMortise AP view
以上を踏まえると、3方向の撮影または2方向(Mortise AP + lateral)が主流だと思われます。
とても、勉強になりました。
本当にありがとうございます。