本記事には広告が含まれています。
This article contains advertisements.

Recruit

【雑記】診療放射線技師としての働き方 ~高校生から社会人3年目の方へ~

Skull-san

本記事では診療放射線技師を目指す高校生や、放射線専攻の学生、新人技師(~社会人3年目)に向けた記事です。
私自身も中堅になり始めたばかりで偉そうなことを言えませんが、12年程度の経験で得た知識や経験をもとに私の考えを書いていこうと思います。

考え方は人それぞれですので、私の意見が正しいとも思っていません。もし、気分を害することが書いてあったらすぐにブラウザを閉じてください。

今回の記事は以下のブログ記事を読んで、私も書いてみよう!と思ったのがきっかけです。皆様もぜひ読んでみてください。

就活生よ、こういう病院はやめとけ!!!現放射線技師が語る、ブラックな病院とホワイトな病院の見分け方

診療放射線技師に向いてる人とは?適正・必要なスキルを知ろう【6年目の技師が語る】

高校生に向けて

□診療放射線技師ってどんな仕事?

診療放射線技師とは医師の指示のもと人体に放射線を照射して医療に貢献する仕事です。大きく分けると診断(レントゲン撮影、CT、MRI、核医学、エコーなど)と治療(放射線治療、核医学治療など)があります。MRIやエコー検査などは放射線を使いませんので病院によっては臨床検査技師が担当していることもあります。

放射線技師は検査装置や撮像方法を勉強(理解)して診断に寄与するような最高の画像を得ることに力を入れているイメージです。一人の患者さんのことを考えるのはその検査中で、次から次へと多くの患者さんの対応をします。一方で看護師や理学療法士・作業療法士はいつも担当の患者さんのことを考えているイメージです。

仕事内容はできるだけ誤解のないように多くの情報を収集して、理解しておいてください。
森ノ宮医療大学, 岩手県立病院(動画), 岡山画像診断センター(動画) …等
仕事内容や忙しさは病院によって大きく異なります。それはどんな職業でも同じだと思います。

例えばMRIに興味があったとしてもその病院にMRI装置が導入されていないかもしれませんし、MRI部門に配属されないかもしれません。装置を保有していたとしてもオーダーが来るのは脳MRIだけで、面白くないかもしれません。全員が満足した仕事ができているわけではありません。特に女性はマンモグラフィなどの女性にしかできない業務にあたるなど偏りが多いように思います。


※近年、業務範囲の大きな変更として放射線技師が一部の穿刺(注射)業務を行うようになっています。私の働いている病院では以前と変わらず看護師さんが注射して造影CTなどを行っていますが、病院によっては放射線技師が穿刺ー投与ー抜針までの業務を担当することもあります。



□給与はどれくらい

診療放射線技師の給与は安くも高くもないといった感じです。ちなみに国立病院機構や市立病院で就職した場合にはそれぞれ国家公務員、地方公務員となります。新卒から60歳定年までの期間、400万~700万程度の範囲にいる人が多いです。ある程度の知名度の企業に就職していれば+300~500万は貰えるはずです。

【2024年最新】診療放射線技師の平均年収・給料・相場ランキング
放射線技師の年収給料や20~65歳の年齢別役職別・総合職・一般職・技術職の年収推移|平均年収.jp
2014年医学物理士就労状況アンケート報告

この年収は、能力が低い人にとっては十分かもしれませんが、優秀な人にとっては安く感じるでしょう。PT/OTや柔道整復師のように開業することもできないため、大きく稼ぐことはできません。年収を上げるには企業などに転職をする必要があります。

しかしながら企業で働くサラリーマンは残業や出張が多く、家族と過ごす時間が少なくなりがちです。一方で、ホワイトと呼ばれるような病院で職場結婚した場合には共働きで世帯年収が1000万を超えることも多く、余裕のある生活ができます。夫婦どちらか一人で1000万稼ぐよりも税金の面で有利であり、手残りは多くなります。身の回りを見ていると(技師同士など)職場結婚している人は長期的に上手くいっているように思います。このような夫婦のあり方もあるわけです。

病院で勤務しながら給与を上げる方法として医学物理士として採用される方法もあります。医学物理士とは放射線治療を専門とする職種で、最低でも修士卒の学歴が必要となります。現在はまだ国家資格ではなく、仕事内容も病院によって異なりますが放射線技師よりも高給である場合が多いです。高校生の皆様にはこの職種も頭に入れておいて下さい。

放射線専攻に進学することのリスク

診療放射線技師になるためには養成課程を経て、国家試験の受験資格を得たうえで、その国家試験に合格しなければなりません。つまり、放射線技師になりたいのであれば他の学科に進む選択肢はありません。理工学部の物理学科で放射線を学んでも放射線技師免許は取得できません。

在学中の3~4年間は主に国家試験合格を目指して仕事(診療放射線技師)に必要となる知識を詰め込むことになります。

もし途中で放射線技師の仕事に興味を持てなかったり(失ったり)、放射線科医や臨床工学技士の仕事内容と勘違い・混同していた場合には目標を見失ってしまいます。卒業後に他分野に就職するにしても、役に立たない勉強をし続けることになります。つまり自分がやるべきことに時間を費やせなくなります。
※就職先はその人次第で見つけることができるでしょう。

他の学校や他学部に進路変更するとしても、貴重な学費と時間を失うことになります。それが無駄だとは言い切れませんが。

放射線専攻に入学した学生のほとんどは診療放射線技師になるという事実を理解して、しっかりと仕事内容を調べた上で覚悟して入学してください。

養成校の違い

養成校には専門学校、短大、国公立・私立大学があります。大きな違いは以下のようなものです。

1.学費
2.学生のレベルと学習環境・設備・人脈
3.(本当の) 国家試験の合格率
4.卒業研究
5.就職先
6.大学院進学

1.学費
学費に関しては専門学校は私立になるため(もちろん私立大学も)高額になります。履修の年数は3年と4年があり、3年制は学費が安くなりますが大学院進学のことを考えるとお勧めしません。大学は国公立の大学であれば比較的安く済みます。それもあり入試難易度(倍率)は高くなりがちです。どれくらい学費の違いがあるかはこちらのサイトを参照してください。

また、給付型奨学金については知っておいた方がいいです。世の中は知ってる人だけが得をします(税金とか補助金など)。
【給付型奨学金がすごい!】返済不要のオススメ奨学金を30種類ご紹介!
『奨学金「調べる学生」「調べない学生」に生まれる差返済額が「百万円以上」少なくなる納得の理由』

2.学生のレベルと学習環境・設備・人脈
どの養成校を卒業しようと診療放射線技師免許さえ取得できれば、病院就職した段階では皆同じスタートラインに立つことになります。しかし、その過程は異なります。

まず学生のレベルと学習環境ですが、不真面目な学生に囲まれて勉学をするのは自分にとって良い刺激にはなりません。課題の手抜き(レポートのコピー、未提出)、遅刻や欠席、授業中の私語、カンニングなどを目にしていると自分の成長の妨げになります。学校の先生もそういった学生を相手にするわけですから、期待もしなくなります。授業で扱う内容も国家試験に標準を当てて、それ以上の深い話はしなくなります(※おそらく偏差値の高い大学では学生が必死に食らいついてくることを信じて難しい授業・宿題を課しているのだと思います。苦労することになりますが、徐々に能力に差が出るのは当然です。)

次に、設備や人脈について。歴史のある旧帝大などは放射線機器が一通りそろっており、臨床では使われていないような研究段階の機器なども設置されていたりします。普通の学生は文字・写真でしか見たことない装置に触れて、実験をすることで理解を深めることができます。また、長い歴史で輩出した優秀な卒業生や企業とのコネがあり、著名な方が校内を出入りすることも多いです。そのような方からお話を聞くことができ、視野や夢のスケールが広がります。(たまに就職に繋がったりも)

3.(本当の)国家試験の合格率
倍率が低くなりやすい専門学校や大学は学生の確保に苦労しています。親御さんとしては自分の子供に確実に国家資格を取得して就職してほしいわけです。なので受験する学校の国家試験の合格率は気になるところです。養成校としても何としても合格率を高くしたいわけです。

国家試験合格率を重視している学校では卒業認定のために国家試験より少し難しい問題を解かせ、受験者の選別を行っています(落ちた学生は留年します)。そのため学校のHPで公開している合格率は「合格しそうな学生」が受験した結果であり、本来どれくらいの学生が卒業する予定でいたのかを考慮しなければ、その養成校の(本当の)合格率はわかりません。本当の合格率はこちらのサイトを参照してください。

Skull-san

受験者の足切りをするのは悪いことではありません。受かる見込みのない学生を卒業させても、不合格になるだけです。また、一度学校を卒業してしまうと独学で勉強を続けなければなりません。そのような国試浪人が受かる確率は非常に低いです。

国家試験は受かって当然の試験ですので、合格率を気にする必要はありませんが、その値は学習環境を反映していることになりますので70%を下回る養成校は少し心配です。

偏差値の高い大学は国家試験対策をほとんどせず(学生任せ)、卒業ギリギリまで研究していることが原因で合格率が低いこともあります。専門学校が丸1年かけて国家試験に向けて準備する一方で、試験の1か月前から猛勉強を始める大学生もいるわけです。同じ合格率の中でも事情は異なります。

4.卒業研究
専門学校はおそらく卒業研究がない学校が多いのではないでしょうか。大学によっても学生数が多い私立大学は必須ではないと聞いたことがあります。

研究とは未知の問題に取り組む作業です。世の中はどんどん改善しており、それは誰かが行った研究の成果の積み重ねによってもたらされています。誰かが明らかにした理論で、誰かが開発した製品を使っているだけでは、進歩はありません。社会貢献のため、成長のため、いろいろ目的はありますが自分もその輪に入る必要があります。

卒業研究では研究の基礎を学びます。先行研究の調査から問題点・課題を見つけ、それを解決するための方法を調べ・考えて実験し、その結果を客観的に示して結論を導く、そんなプロセスを経験します。この経験をせずに就職した学生は、社会人になってから求められる勉強会、学会での発表に戸惑うことになるでしょう。先輩が手取り足取り指導してくれる病院であれば問題なさそうですが。

5.就職先
専門学校ではほぼ全員が医療機関に就職することになります。4年制大学を卒業した学生も同様ですが、少し選択肢が増えます。それは(他分野含め)企業への就職が可能となる点です。もちろん内定をとれるかは本人次第ですが、エントリーに4大卒が条件となっている企業は多いです。

医療機関に就職するにしても、〇〇大学病院などでは4大卒が条件になっていたりします(求人票に明記してないかもしれません)。また、ある地域ではこの大学にしか求人票を出さないという医療機関もあるとかないとか・・・。

6.大学院進学
最近の国公立大学は1/5くらいが大学院に進学するそうです。進学率が高い大学だと1/2が進学するとか。機器の高度化や診療放射線技師の地位向上など様々な理由がありますが、今後は大学院への進学がより一般的になるかもしれません。後輩がみんな修士卒で引け目を感じる未来が来るかもしれません。未来は読めませんが、どのような流れになろうとも対応できるように準備しておく必要があります。

4大卒と同等のレベルであることを証明できるなどの例外を除いて3年制の専門卒や短大卒では修士課程への進学ができません。他の大学に編入学するか、放送大学などで学士を取得する必要があります。いざ大学院に進みたくなった際にそのような障壁があるとほとんどの人は断念してしまうのではないでしょうか。学校選びの際は大卒の資格が得られるかに注意してください。

学生に向けて

学生時代に力を入れておくべきこと

〇勉強
今後絶対に使わないと思っていた知識が必要になったりしますのですべての授業を大事にしてください。おそらく多くの学生が英語、プログラミング、統計学はよく勉強するようにと言われていることでしょう。最近ではChatGPT(生成AI)の登場により、少し流れが変わってきたように思いますが重要であることには変わりありません。

〇コミュニケーション力
社会人になってからの差は学力よりもコミュニケーション力(礼儀や人付き合い)によって生まれると感じています。先輩や上司と良好な関係が築ける人には仕事、指導やアドバイス、情報が集まるからです。学力とコミュニケーション力の両立を意識しましょう。

〇情報発信
情報発信のトレーニングを積むと良いです。情報のインプットよりもアウトプットの方が学びが多いです(ラーニングピラミッド)。またSNSのフォロワー数はその人の影響力を示し、情報が集まりやすくなります。

どんな病院に就職するべきか

就職に関する以下の項目について述べます。

1.優先順位
2.医療機関の規模について
3.求人票で重視する点はどこか
4.病院見学は行くべきか、見るべき点はどこか
5.研究を課す病院は避けるべきか

1.優先順位
どこに就職するかを考えるにあたって、最も重要なことは自分にとっての優先順位を決めることです。

・地元に戻って実家の近くで働きたい
・できるだけ楽な仕事がいい。残業は絶対したくない
・激務の病院でスキルを身に着けたい
・とにかくお金を稼ぎたい
・都心の大病院で症例も研究も経験したい

など、いろいろあると思います。
各々の価値観ですから否定するつもりはありませんが一つ忠告したいことは20代前半の社会人経験のない学生がする決断(価値観)が正しいとは限らないということです。

働いて数年もすれば同級生の収入を羨んだり、成長している姿を見て自分を蔑むことになるかもしれません。

地元に残って暇な小規模病院、標準的な中規模病院、臨床に加え研究もこなす大規模病院

大規模から小規模に行くことは容易ですが、逆は難しいです。進路に迷っている学生はできる限り経験が積める病院に挑戦することをお勧めします。選択肢はできるだけ多く持つべきです。

とはいっても、大勢の中で働くのは性格的に合わないなど各々の理由があると思いますので、こんな考え方もあるんだなという程度で受け止めてください。

2.医療機関の規模について
小・中・大規模の医療機関でそれぞれ利点と欠点があります。

【小規模】
利点:
 裁量権が大きく(自由度が高く)ルールや方針の変更が簡単で迅速。
 給与の交渉がしやすい。
 職員間の距離が親密になりやすい。
 特定の分野(診療科)の深い知識が得られる。

欠点:
 規模が小さくなるほど給料は低めになりがち。
 欠勤による影響が大きく、休みがとりにくい。
 馬の合わない技師がいても回避できない。
 診療科が少ないため経験できる症例が少ない。
 装置も少なく経験できるモダリティが限られる。
 出会い(刺激)が少なく仕事も恋愛も転機が得られにくい。
 院内ルールが曖昧で思いがけない仕事が降ってくる。
 閉院によって仕事を失う可能性がある。
 
【中規模】
利点:
 職員間の程良い距離がある。
 ある程度のモダリティが揃っている。
 モダリティ間の距離が近くいろいろな装置を経験できる。
 当直の担当日が多く、給与が高くなる。
 小規模と大規模の良いところの間を持つ。

欠点:
 担当範囲が広く、specialistよりもgeneralistになりやすい(利点?)。
 研究にまったく理解がないところもある。
 小規模と大規模の悪いところの間を持つ。

【大規模】
利点:
 給料が比較的高い。
 福利厚生が手厚い。
 一人の欠勤による穴を全体でカバーできるため、休みがとりやすい。
 研究に理解があり、出張費などのバックアップが得られる。
 大学院の進学(社会人枠)に理解が得られやすい。
 症例も検査も豊富で経験が積める。
 企業の対応が良い(重要な客として扱われる)。
 放射線科医が常駐しており、多くのことを学べる。
 馬の合わない技師と関係が浅くなる。
 当直の担当日が少ない。
 多くの出会いがあり思いがけない選択肢が出てくる。
 職員の数が多く、いろいろな情報が得られやすい。
 一通りローテーションした後はspecialistを目指せる。

欠点:
 院内ルールが厳密で、自由度が低い(稟議が遅い)。
 委員会など雑務が多くなる。
 人間関係が希薄になりやすい。
 その人の意思にかかわらず研究が課される。
 業務量・残業が多くなりやすい。
 希望するモダリティに配属されにくい。
 上下関係に厳しい(体育会系)場合が多い。

規模によって利点・欠点はありますが、中規模以上で新しい出会い(刺激)がある医療機関に就職することをお勧めします。

3.求人票で重視する点はどこか

上の求人票はネットで見つけたものです。この項目に触れながら(その他のことも含めて)、できればこういう病院に就職するべきという私個人の考えを述べます。独断と偏見です。

【所在地
交通の便が悪い、治安が悪い、家賃(地価)が高いなどに気を付ける必要があります。

交通の便は平日の夜や土曜の昼など、その地区で勉強会が開かれる場合に参加できるかということに関係します(もちろん帰省しやすいなどにも関係します)。実際の距離よりも、駅や空港までのアクセスが重要です。格安航空が利用できる空港かなども確認しておくべきでしょう。

治安も考慮するべきと考えます。その土地の住民(患者)の民度が仕事のストレス(モンスターペイシェント、訴訟)に影響することもあります。

都心の中心部では住居費によって手取りが少なくなる、もしくは通勤時間が長くなるデメリットがあります。特に東京の上りの電車は混雑しており、通勤で疲弊してしまいます。その病院に就職した場合、どこに住むことになるのかをイメージしておきましょう。

【診療科】
出来る限り多くの診療科があった方が経験できる症例が増えます。マニアックなオーダーが来ることもありますが、学びが多くなります。

【病床数】
そこまで気にすることはありませんが、400床以上を大病院と呼びます。

【放射線技師数】
20名程度であれば程よい関係が築けそうですが、40名以上となると一日のうちで顔を合わせない人が結構います。ただし、数が多い方が優秀な(多くのことを学べる)技師と出会える確率が高くなります。

【採用人数】
あまりにも採用人数が多い場合(5人など)には離職率が高い可能性があります。グループで一括採用とかであれば募集人数10人とかは全然あり得ます。

経験問わずという募集では慢性的に人手不足である可能性があります。新卒枠、キャリア枠で分けて募集している方が良いです。

【基本給】
3年制卒は180,000円、4年制卒は190,000円欲しいところです。

【通勤手当】
上限までもらうことはほぼあり得ませんが、上限55,000円とされていると良いです。

【住宅手当】
地域によって差が大きいですが、27,000円(家賃の半分補助)欲しいところです。

【賞与】
夏冬合わせて4.0カ月は欲しいところです。

【昇給】
昇給は非常に重要な項目ですが、求人票に書かれていないことがほとんどです。昇給が望めるかどうか(余裕のある病院か)をその他の項目(通勤手当、住宅手当、賞与、福利厚生)から推測します。また、モデル給が記載されている場合には大まかに計算することができます。

例えば初年度の基本給が190,000円で、5年目のモデル給の基本給が21,4000円なら
1年目の基本給×昇給=2年目の基本給
2年目の基本給×昇給=3年目の基本給
3年目の基本給×昇給=4年目の基本給
4年目の基本給×昇給=5年目の基本給
となり、昇給は3%(1.03)程度であると推測できます。

賞与が4か月であれば基本給×(12か月+4か月)となり、さらに手当分が追加されて年収になるという感じです。

目安としては一般的な民間病院なら0~2%、国立病院機構なら3%前後、大都市の市立病院などでは4%前後という感じだと思います。

【勤務時間】
8:00開始のところや19:00終了のところもあります。途中で昼休みが2時間程度与えられるところもあります。勤務時間は毎日の生活に密接に関わりますので意外と重要です。8:30~17:15を基準にそれより早いか遅いかを考えてください。

【当直の有無】
当直の忙しさは病院に依ります。ほとんど患者が来ない病院もあれば、寝れないほど急患がくる病院もあります。当直明けが休みなのか、当直日は夕方から勤務なのかなど様々です。

【社会保険】
社会保険完備が当然です。

【勤務予定地】
分院、系列(グループ)病院がある場合には勤務地が予測できない、転勤がある可能性があります。

【年間休日日数】
非常に重要です。年間休日日数が明記されていない場合は応募する前に確認しましょう。大きく4種類(105日、110日、120日、125日)に分かれます。完全週休二日制と週休二日制の違いは理解していますか?
こちらのサイトを一読することをお勧めします。

以下のような勤務になることが多いです。

105日:8~9休/月。祝日がある場合には土曜日に勤務することになる。
110日:日曜、土曜隔週、祝日、夏季休暇、年末年始休暇(週休2日制)
120日:土曜、日曜、祝日
125日:土曜、日曜、祝日、夏季休暇、年末年始休暇

年間休日日数は120日以上あった方がいいです。110日では不十分です。10日程度の違いなら許容できると思うかもしれませんが、土曜の半日勤務は通勤も含めると半日休みとは感じられません。さらに休日が少ない病院ほど有休消化がし難いです。勤務日数が多いほど給与が高いかというとそうではなく、むしろ休みが多い病院の方が給与が高いことが多いです。

【応募期限】
応募締め切りと試験日が指定されている病院が望ましいです。『随時』と書いてある場合は応募者がほとんどいない、慢性的に人手不足になっている可能性が高いです。

【選考方法】
書類選考、適性試験、筆記試験(教養、専門)、小論文、面接のどれか一つ以上(あるいは全部)が課されます。専門の筆記試験がある場合は第1種放射線取扱主任者の合格が無くとも学力を示すことができます。

試験は一次試験だけの病院もあれば三次試験まである病院もあります。二、三次試験など人事に時間と労力をかけていることから離職率が低い可能性があります。
試験が多くとも皆、条件は同じで難易度はほとんど変わりませんので三次試験まである病院にも臆せず応募することをお勧めします(三次試験はほとんど院長との顔合わせ程度の面接だったりすることもあります)。

【その他】
福利厚生
重要です。この項目が細かく記載されているほど良いです。特に休暇(子の看護休暇など)の取得を強調・推進している記載があれば休みが取りやすい環境である可能性が高いです。

福利厚生の例:
院内保育所、独自の休暇(リフレッシュ休暇、バースディ休暇など)、寮、借り上げ社宅、、慶弔金(結婚祝い金・出産祝い金・弔慰金)、職員食堂(割引、無料)、人間ドック無料、自車通勤可(駐車場無料)など

非正規(任期あり)の募集
2つのパターンがあります。

①非正規の任期が終わる前に、正規雇用になるための試験を受けることになっている
②任期満了とともに契約が切れる

有名な大学病院などでは①であることが多いです。これは言い換えると試用期間が数年(~5年)あるといえます。その間に能力が問題ないと判断されれば正規雇用になりますが、そうでなければ試験に不合格となって病院を去ることになります。よって、人柄を含めて一定のレベルの人が残ることになり職場としては安定します。普通は非正規採用は学生に敬遠されがちですが、この方式をとれるほどの病院だということです。
②であるパターンとしては、採用の理由が産休育休代理、会計年度採用、パート/バイトなどです。こちらは半年~3年程度の一時的な労働力として求められています。②として働いて能力を示せば、常勤採用の募集があった際に有利かもしれません。

①と②のどちらのパターンであるかは、あらかじめ確認しておきましょう。①の待遇は正規と同等、②の場合は時給で書いてある場合が多いように思います(例外多し)。

学校に届かない求人
ほとんどの場合、学校に来た求人票の中から選んで応募しますが、すべての求人票が学校に来るわけではありません。例えば福岡の学校に対して、北海道の病院は求人票を送らないこともあります。そのため、学校と遠く離れた病院に就職を希望する場合にはHPをチェックしておかなければなりません。

給与に大学院卒の項目がある
4大卒だけでなく、院卒の職員が多く在籍している可能性が高いです。研究や大学院進学(社会人枠)に理解がある可能性が高いです。

避けた方が無難な病院
ー病院HPの職員募集のページで待遇に関する詳細な記載がない。「当院規定に従う」、「面接にて」、「応相談」という一言で済ましている場合は危険です。
ーハローワークに常に名前が載っている病院。
ーレントゲン技士と書いてある病院。
ー有名な3つのグループ病院(TとAとC)

最も信頼できる情報はその職場で働いている人から聞くことです。

4.病院見学は行くべきか、見るべき点はどこか
あまりにも遠方の病院であれば時間的・費用的な問題から見学せずに応募することもありますが基本的には見学した方がいいです。見学に来ていないと採用試験で不利になる病院もあるとか、ないとか・・・。見学の最中から面接は始まっていますので気を引き締めてください。フレンドリーに接してきても、油断してはいけません。本音を出し過ぎてはいけなく、礼儀・常識を見られます。また、見学が終わったら必ずお礼状を書きましょう。

見るべき点】
ー建物の外観と内観
職場の環境が清潔か(新しいか)どうかはモチベーションに関わります。設備が古いと空調管理が悪かったり居心地が悪くなります。

ー病院周辺環境
家賃を調べてどの辺に住むことになるのかを考え、通勤経路を見ます。治安や街並み、生活や交通の便について確認します。

ー病院の雰囲気
挨拶は病院の雰囲気を表します。すれ違う職員同士が挨拶をしているかに注目してみてください。技師長や主任に連れられて院内を回ることになりますので、廊下ですれ違う職員に対して自分からも挨拶しましょう。

ー技師長の人柄
技師長と部下の関係に注目します。意見の言いやすい風通しの良さが感じられれば良いですが、舐められすぎな技師長はマイナスです。他の部署ともめる場合もありますので、技師長には毅然とした態度をとってもらう必要があります。技師長によって臨床と研究の関心が違うので、どういう考えを持っているかを会話の中から感じ取ってください。

ー部下の放射線技師
見学している学生に背を向けて挨拶をしない技師は良くありません。見学者数が多い病院であろうと、愛想よく挨拶や説明をしなければなりません。技師同士の会話量から雰囲気を感じとることもできます。また、現場の技師と話をする時間があればいろいろと聞き出せるかもしれませんが、素を出し過ぎると技師長に報告されるので人を見て質問してください。

ー年齢構成
働いている技師の年齢層は重要です。離職率が低い病院は新卒で入職して定年まで働く割合が多くなります。そのため、20代、30代、40代、50代(60歳定年として)がバランスよく在籍します。一方で離職率が高い病院は若い技師の割合が多くなります。ほとんどが20代で40、50代が1~2人などの病院は危険な感じがします。一般的に職場を変えられる年齢は~35歳までなので、職場に不満があったり将来に不安がある場合(多くの場合は金銭面)は30歳前後で辞めていきます。結果として20代ばかりが在籍するようになります。

ー仕事風景
午前は忙しいが、午後3時以降は検査が落ち着いている病院は多いです。そのような時間帯で技師の方々がどのように過ごしているのかに注目します。翌日のオーダーを確認しているのか、先日の読影レポートを読んでいるのか、研究しているのか、雑談しているのか、職場の熱意が感じ取れます。
人手不足の病院は若手一人で検査を担当していたりします。若手の技師を見つけてどういう環境で働いているか確認しましょう(1,2年後の自分の姿です)。教育体制がしっかりしているならばベテランが近くにいて(できれば付きっきりで)指導を受けられるはずです。放射線科医が在籍しているか、すぐに質問できる関係性かも注目します。闇雲に多くの検査数をこなしても他の病院で通用するような知識、技術は身につきませんので、適切な指導が受けられる環境が望ましいです。

5.研究を課す病院は避けるべきか
研究は病院の利益に直接は寄与しません。利益優先の病院では業務量のみを重視して、職員を駒として扱いがちです。つまり研究を課す(援助する)病院は長期的な人材育成に理解がある病院です。学会発表するための休暇や出張費を負担すると記載のある病院は余裕が感じられます。また、研究するだけの時間的余裕があるとも言えます(もちろん遅くまで残って研究しているのは重々承知です)。学生の方は就職後は研究なんてしたくないと思っているかもしれませんが、研究ができる病院の方が恵まれている場合が多いです。

□大学院への進学

病院で働きたくて放射線専攻に入った人が大多数であり、現在も進学する学生は少数派です。給料が貰える年数が減るだけでなく学費を払って、勉強をしなければならないなんて、余程の研究好きでなければ無理だと思うかもしれません。

しかし実際はそうではありません。進学した者しか分からないメリットがあります。
研究能力の向上に関しては当然なので省いています

1.病院以外に就職ができる
2.医学物理士の取得が目指せる
3.人柄やコミュニケーション力ではなく、努力(学力)で勝負できる
4.コネができる

1.病院以外に就職ができる
医療従事者になりたい学生がほとんどですが勉強するにつれ、臨床実習を経験するにつれ放射線技師の仕事に興味がなくなっていく人もいます。そんな中、就職説明会で企業の話(待遇や仕事内容)を聞いた一部の人はその道に興味を持ちます。学部卒では営業として採用されることが多い一方で、修士卒であればアプリケーションスペシャリストなどで採用されることも多くなります。このような進路に進むことができるというメリットがあります。

2.医学物理士の取得が目指せる
日本では医学物理士は放射線治療の専門家という立ち位置です。放射線治療に興味があっても治療部門に配属されるかは分かりません。特に治療部門を希望する人は多いです。医学物理士を取得しておけば治療部門に配属される可能性を少し上げることができます。現在は理工学・放射線学の修士卒であればどこでも問題ありませんが、今後は認定医学物理教育コースを卒業する必要が出てくるかもしれません。

3.人柄やコミュニケーション力ではなく、努力(学力)で勝負できる
医療従事者として働く以上、人柄が何よりも重要です。しかし、面接が苦手という人も一定数います。そのような人は研究力で勝負するという道があります。性格とは違い、学力は努力でどうにかなります。研究に力を入れている病院では、たくさん学会発表をして病院の顔を立ててくれる(メンツを保ってくれる)技師が欲しい場合があります。一般にこのような病院は人気・倍率が高いですが、研究力を期待されて採用されるかもしれません。

4.コネができる
顔の広い教授は、病院(技師長など)とつながりがあります。その教授の研究室の学生は、紹介された病院で実験をしたり指導を受けたりすることもあります。良い印象を与えていれば、その病院から求人が出た際には採用される確率が高くなります。もっと言うと、病院は教授との良好な関係を続けたいという心理的なバイアスが働く可能性もゼロではありません(※冗談です)。前述のとおり、大学とつながりがあり研究に力を入れている病院というのは人気の病院であることが多く、良い就職先である可能性が高いです。また、研究室のOBは求人の情報を教授に回すことがあります。教授を通して研究室内で共有されることが多いです。これらはすべて教授次第であるため研究室選びは慎重に行わなければなりません。

コネを作るために進学しましたと絶対に口に出してはいけません。大学院とは本来、研究をしに行くところです。卒研の続きみたいな生半可な覚悟で進学すると大変な目にあいます。研究を通して社会貢献して、この苦労のご褒美として上記のメリットを享受できるのです。


大学院に進学した人で後悔した、進学しなければよかったという人を見たことがありません。そのため、修士課程までであれば進学することをお勧めします。

進学は学部卒でそのままストレートに進学する人もいれば、一度就職をして社会人枠で働きながら大学院に通うという人もいます。それぞれの利点と欠点を述べます。

〇学部からストレートの進学
利点:
 学部生で学業から離れずに入試を受けられるため、入学が容易。
 指導教員が学生として扱ってくれるため色々なことを指導して、面倒を見てくれる。
 技師のバイトをして短時間で稼ぎ、時間的に余裕を持って研究に専念できる。
 教授やOBの力によって、実力以上の就職先が紹介されることがある。

欠点:
 学費や生活費の面で両親に負担をかける。

〇社会人を続けながら進学
利点:
 給与を貰って蓄えがある状態であるため、学費や生活費の面で両親に負担がかからない。
 仕事の中から見つけた現実的で実用的な研究テーマに取り組むことができる。
 働きながら修士の学位が得られるため効率的。

欠点:
 入試のための勉強が大変。
 仕事と授業や研究の両立が大変。
 職場からの協力が得られない場合は肩身が狭くなる。
 研究に集中する時間が比較的少ない。
 社会人であるため、純粋な学生(ストレート入学)のようには扱わずに放任されがち。

それぞれ利点・欠点がありますが私は学部からストレートで進学することをお勧めします。教授やOBの力によって自分には想像もつかないステージ(レベル)に引き上げてもらえる可能性があるためです。一方で、社会人大学院生は今いるステージで1,2段階レベルアップするという感じで劇的な変化ではないように思います。
※働いてから大学院に進む予定であっても、環境や立場の変化によって進学できなくなる可能性が高いです

社会人(~3年目)に向けて

□認定資格

資格の種類はこちらのページにまとまっています。
一部ですが認定資格の受験についてこちらのページにまとまっています。

資格は取得後に生涯有効なもの(例:第1種放射線取扱主任者)もあれば5年程度で定期的に更新しなければならないものがあります。資格によっては各学会の会員であることが条件となっている場合が多く、更新が必要な資格を複数持つと手間もお金もかかることになります。学会の年会費は5,000~15,000円程度です。

※女性の場合、検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師は取得しておくと採用に有利になると求人票に記載されているのをよく見かけます。また、資格手当がでる病院もあるようです。

新人のうちは資格取得を目指す必要はありませんが、受験資格には学会の会員歴が〇年以上などという制限もあるため、入会する時期については調べておくことをお勧めします。

資格を持っているからといって能力が高いことを示すわけではありませんが、合格に向けての資料作成や試験勉強は学ぶことが多く、スキルアップにつながることは間違いありません。また、取得後はそのモダリティの専門家であるという自覚が強くなり仕事へのこだわりが持てるようになります。ただし、取得する数が多いと資格マニアと見られ、それぞれの専門分野に興味がないという印象を持たれる危険性があります。

残念ながら資格手当が出ることはなかなかありません。出たとしても数千円/月で年収アップの効果はほとんどありません。

前述の通り、医学物理士の資格だけが年収を大幅にアップさせる可能性を持ちます。ただし医学物理士の資格を持っていても、多くの技師は放射線技師としての業務に加えて医学物理士の業務も兼任しているパターンが多く、給与の大幅なアップは期待できないようです。

□院内での評価と院外からの評価

安定して職を持ち続けるために『院内での評価』と『院外からの評価』(+『コネ』)が必要になります。

院内での評価とは同僚からの評価になります。仕事に対して真面目に取り組む、嫌な仕事でも引き受ける、オールマイティに各検査を担当できる、他の部署と良好な関係を築き知くといったことです。その人がいなければ仕事が円滑に回らない、そういう存在になることを目指してください。人に必要とされ、社会に貢献していると感じることができれば仕事や生活が楽しくなります。逆に言うと、本業がうまくいっていなければ幸せを感じることができません。

しかしながら人間関係が悪化したり、パワハラやセクハラによって精神的に病んだり、家族の事情で引っ越しを余儀なくされるなど、予期せぬ理由で職場を辞めなければならない状況に直面することもあります。再就職しようにも、これまで築き上げた信用は院外からは見えませんので、中途の採用は現状よりも待遇が下がりがちです。

そこで、努力や能力を院外の人にも見えるような形で残す必要があります。これは学会発表だったり、地方技師会の委員をしたり、研究会の世話人をしたりといったことです。他の病院の人にも名前が知られるような活動を並行して進めていかなければなりません。

安定するには再就職に困らない、選択肢を多く持っている状態でいる必要があります。大学院に進学して教授(研究室)とのつながりを持っておく、転職エージェントに登録しておくことも非常に有効な手段です。また、Drや企業の方(サービスやアプリケーションスペシャリスト)と親しくすることによって思わぬ話が飛び込んできたりします。

『院内での評価』と『院外からの評価』はまったくの別物です。院外からの評価が高いからといって院内で仕事ができるとは限りません。一方で、『院外からの評価』の方が客観的に評価しやすいということもあり、出世したりすることがあります。『院内からの評価』を上げずに上に立った場合には他の職員からの信用が得られずに結果として不幸になったりします。

□職場を変えるタイミング

納得した病院に就職できなかった人や希望通りの病院に就職したのに思っていたような環境ではなかったという人もいると思います。20年先輩の年収を聞いて唖然とすることもあるかもしれません。

職場を変えるのは若ければ若いほど良いです。石の上にも3年などという考えは間違っています。その3年で身に着けた技術が次の環境では邪魔になることすらありえます。自分の準備が整った(都合の良い)ときにチャンスは舞い込んできません。

転職のリミットは35歳と言われていますが、年齢が上がるにつれて求められる能力は高くなります。『院外からの評価』を十分に上げていれば可能性はありますが、そうでなければ待遇は低くなるでしょう。

若さは有限の武器ですので、1年目でも2年目でも希望する病院の求人が出たら応募したほうが良いです。ただし、職場には黙って応募しましょう。もしばれてしまった場合は信頼を失い、その後の扱いはひどいものになります。

待遇は仕事に対する努力に比例しません。時間的、金銭的余裕を決めるのはどの職場で働いているかです。どこかで、あなたよりも無能な人間があなたよりも高い給与で働いており、どこかで、あなたよりも有能な人間があなたよりも低い給与で働いています。

さいごに

ここで記載した内容は経験12年の中堅(若造?)の勝手な考えですので、いろいろな人の考えを聞いて将来のことを考えてください。適切な時期を逃すと取返しがつきません。

こんな考え方もあるよ!という人は下のコメントに書き込んでください!

COMMENT

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA