今回はDICOM画像の閲覧、解析に便利なソフトウェアを紹介します。
以前の記事でDICOM viewerのPRO SURGICAL 3Dを紹介しました。
PRO SURGICAL 3Dではsegmentationの機能は有料でしたが、今回紹介するThe Medical Imaging Interaction Toolkit (MITK) Workbenchは標準で含まれています。3D Slicerよりはできることは限られますが、軽量であり、かつ使いやすいインターフェースですのでおススメです。
ではダウンロードから使い方まで説明していきます。
ダウンロード
ダウンロードはこちらのページから可能です(2025/6/7時点)。
Windows 10 以降, Ubuntu, macOS 12以降で使用可能です。今回はwindows 10用を使っていきます。
windows用にはインストール不要型とインストール型がありますが、今回はwithout installation(インストール不要)を使っていきます。

zipファイルをダウンロードしたら、zipファイルを解凍します。
起動

起動する際にはMitkWorkbench.batをダブルクリックします。
セキュリティ上の問題でブロックされる場合は、許可してください。
DICOM画像の読み込み
DICOM画像を読み込みます。DICOM画像はどこからか入手しておいてください。例えばこことか。利用規約を守るようにしてください。
ソフトウェアを起動すると以下のような画面が表示されます。
Open FileからDICOM画像を開きます。

DICOM画像が保存されているフォルダの最初の画像を選択します。

画像を開こうとすると、下のようなウィンドウが表示されます。特に変更しなくとも大丈夫です。MITK DICOM Reader v2 (autoselect) を選択します。

よく使う機能の紹介
①WW/WLの設定
WWおよびWLは中心のバーを移動させたり広げたりする方法や、下段の数値を直接指定することでも調整可能です。

②画素値の確認
画面左下のPixel Valueタブで確認することができます。

③DICOMタグ情報の確認
画面右には機能が一覧で表示されています。(View Navigator)
Dicom InspectorをダブルクリックするとView Navigatorのタブの隣に、Dicom Inspectorタブが表示されます。

※View Navigatorが表示されていない場合は、上のバーにあるアイコンをクリックします。


Dicomタグ情報を確認する画像を選択します。
選択するとDICOMタグ情報が表示されます。
④画像の切り抜き(Crop)
View NavigatorからImage Cropperを選択し、ダブルクリックするとImage Cropperのタブが開かれます。

おそらくImageにはすでに画像が選択されていますが、複数の画像を開いている場合には対象とするdataを選択します。
切り取り範囲(Bounding Box)を作成します。Newをクリックします。
画像上に直方体が描画されるので、サイズや位置を変更します。

範囲を指定した後、Cropを押すとBounding Boxの範囲だけ表示されます。
もともとの画像(切り取る前)は非表示になります。データが削除されているわけではありません。

⑤解析
View NavigatorからMeasurementを選択し、ダブルクリックするとMeasurementのタブが開かれます。

画像を選択し、ROIを配置します。ROIは複数個、配置することができます。

ROIを置いたら、Statisticsタブに行きます。StatisticsタブはView Navigatorタブにあるので開いておきます。

select dataを押したら、画像とROIを選択します。

ROIの情報が表示される。

⑥3D表示(VR)
View NavigatorからVolume Visualizationを選択し、ダブルクリックするとVolume Visualizationのタブが開かれます。

画像を選択します。Volume renderingをONにします。
表示のcolorはとりあえずpresetsから選択します。3D画像は右下のウィンドウに表示されます。

axial, cor, sagの画像も重ねて表示されている場合は、Show crosshairのチェックを外すと非表示にできます。これでVR画像だけ見ることができます。

⑦セグメンテーション
View NavigatorからSegmentationを選択し、ダブルクリックするとタブが開かれます。

画像を選択します。
Segmentationは何個ものグループに分けることができます。とりあえず1つ追加します。
2D tools, 3D toolsを選択できます。

少し高度なセグメンテーション手法として、GrowCutがあります。そのほか、MedSAM(metaが開発したアルゴリズム)などもありますが追加のインストールが必要です。
とりあえず今回はGrowCutを使います。
GrowCutとは、大まかに手動でセグメンテーションをして後は自動で分けていくという手法です。セグメンテーションがいまいちの場合は、手動で領域を追加・修正します。
そのため、Labelを2つ以上作成する必要があります。手動で分ける際は2D tools, 3D toolsなどを駆使します。
例えばAddを使って大まかに縦郭と肺野を分けます(教師ラベルを与えます)。

GrowCutは3D toolsです。

Previewをして、セグメンテーションを確認しConfirmします。

結構、精度よく分割できていますね。もう少し複雑なセグメンテーションだと精度は下がるかもしれませんが、大まかに分ける前処理としても有効です。
結構使いやすいソフトウェアだと思います。私も結構使用しています。
無料ですので、皆さんも使ってみてください!